それから河原に下りてみた。雲はまだ暗かったが、雨はやんでいた。岩と岩に挟まれて窪んだ水場に、小魚でもいないかと物色していたら、驚くべき数のオタマジャクシがいるのに気づいた。遠目には岩にへばりついた藻に見えていた黒い揺らぎの影が、すべてオタマジャクシだった。目を凝らせば凝らすほどその数が天文学的な色を帯びてくる。しかもわりと大きな水場のあらゆる場所に、黒い揺らぎがあった。合わせて万単位の数かもしれない。しゃがみこみ、圧倒的な数を見つめて放心しているうちに本格的に陽が陰りはじめていた。この一匹一匹が全部蛙になったとしたらと考えると、ゾッとした。はたして無事に蛙になれるオタマジャクシは、このうちの何%だろうか。鳴き声で知るその日が恐ろしくはあるけど、遠目には地味で目立たない、暗い影の揺らぎの正体が、ギラギラとした生命力そのものだったという事実は、やはり嬉しい。
2011/04/24
雨と休日
それから河原に下りてみた。雲はまだ暗かったが、雨はやんでいた。岩と岩に挟まれて窪んだ水場に、小魚でもいないかと物色していたら、驚くべき数のオタマジャクシがいるのに気づいた。遠目には岩にへばりついた藻に見えていた黒い揺らぎの影が、すべてオタマジャクシだった。目を凝らせば凝らすほどその数が天文学的な色を帯びてくる。しかもわりと大きな水場のあらゆる場所に、黒い揺らぎがあった。合わせて万単位の数かもしれない。しゃがみこみ、圧倒的な数を見つめて放心しているうちに本格的に陽が陰りはじめていた。この一匹一匹が全部蛙になったとしたらと考えると、ゾッとした。はたして無事に蛙になれるオタマジャクシは、このうちの何%だろうか。鳴き声で知るその日が恐ろしくはあるけど、遠目には地味で目立たない、暗い影の揺らぎの正体が、ギラギラとした生命力そのものだったという事実は、やはり嬉しい。
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