奇妙な夢をよく見る。知らない土地なのに、どこか懐かしい感じが する。解せないのは、主体が自分 ではないこと。まったく知らない 誰かの体を借りて、夢で体験して いる。知人や友人が出てくるよう な自分事なら、状況が破綻してい ても、単なる夢だけど、時代も国 も違うし、場所や出来事に、思い 当たることがないと、ユングにも 解けないような不思議を抱えこむ 。
寝ているときの自分は、時間や空
山や森に入ると、独りなのに、豊
手付かずの山を登るとき、頭より
間伐をしているので、後ろめたく
眠りにつくように、世界に体を貸
夢を見た。戦国時代、敵対してい た、ある人を斬った。後ろから斬 った。卑怯なやり方だった。でも やらなければ、やられていたから 、後悔はなかった。しかし亡骸を 見ていると、激しい後悔の念がわ きあがり、その人が現世では、大 切な人だったことに気づいた。夢 だとわかっていたので、過去に戻 って、その人と出会わないように 、主体の行動を配慮した。すると 、その人が生きている現実が現れ た。しかし、既に斬ってしまった 事実は消えず、二つの風景が重な って、混乱する人たちがいた。す でに起こってしまったことは、変 えることができなかった。
しばらくは二つの現実が重なって いて、世界に混乱が続いたが、二 人が出逢わずに、生きている現実 の方に、世界の存在感(重み)が あったので、斬られたはずの歴史 は、バランスを取りながら、引き ずられるように、大いなる時間の 流れから離れて、ゆっくり消えて いった。ほっとするように、目を さました。
時計を分解しても時間が見つから ないように、時計の針を過去に戻 しても、起こってしまったことを 、変えることはできない。でも未 来は選ぶことができるので、いま この瞬間に、人生をやり直すこと はできる。再生した時間に、蘇生 した魂は、定められたはずの運命 さえ、塗り変えてしまう。
相対性理論に基づくと、自分の時 間をゴムのように伸ばすことによ って、未来に行くことは可能だけ ど、それは光の速度に近づいた身 体だけが、大いなる時間の流れか ら離れて、取り残されてしまうと いうこと。取り残されて寂しいか ら、未来の夢を見ている。そんな ことをしなくても、旅に出ること はできる。パラドックスを抱えた 過去でさえ、見に行くことができ る。根が過去に向かって伸びてい くから、枝葉は未来に向かって伸 びていく。戻ってくる現在がある から、旅に出ることができる。
死んだらどこに行くかを考えるよ りも、眠っている自分が、どこに 行くかを考える方が、夢がある。 過去や現在や未来という座標を外 すと、輪廻は自然に解消する。前 世や来世を担保しなくても、時空 を離れた、かろやかな魂の動きが 、不思議なやり方で、どんな対象 にも入り込み、いまここに輝く永 遠を獲得する。言い換えると、自 由になれる。
しばらくは二つの現実が重なって
時計を分解しても時間が見つから
相対性理論に基づくと、自分の時
死んだらどこに行くかを考えるよ
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