2020/02/16

stay gold

 
再来
 
アウトレット雲竜和紙に印刷した生命の樹を、溜めていた雨水に浮かべてしばらく放置していたら、黄金が浮かびあがってきた。なんでこうなるのかわからないのだけど、これってまさに錬金術。ちょうど粉雪が舞い始めたのは、天からのサインだろう。stay gold、アルケミストがまた来てくれた。
 
 
 変容
 
しばらくすると、突然goldが出なくなって、玉虫色のような不思議な色に。紙、インク、プリンター、水、すべて同じ条件なのに、どうなってんだろう。退色を防ぐ効果も兼ねて、表面に薄くゴールドスプレーをかけて定着させてみた。stay(定着)gold(黄金)。
 




蘇生
 
実験中、また突然goldが出現。でも夢中になり過ぎて、紙が残り僅か。他の紙ではこの現象は現れない。この雲竜紙は絶版で、なくなればもう手に入らない。でもこの一瞬が永遠、すべてやり切る。


 

対話
 
「あなたはなぜ錬金術師と呼ばれているのですか?」
 
「錬金術師だからさ」
 
「では、他の錬金術師が金を作ろうとしても作れなかったのは、なにが間違っていたのですか?」
 
「彼らはただ金を探しているのだ」
 
「彼らは自分たちの運命の宝物だけを求めていて、実際に運命を生きたいとは思っていないのだ」
 
「おまえはもう、錬金術を知っている。それは大いなる魂とつながることであり、おまえのためにとってある宝物を発見するということなのだ」
 
「おまえの心があるところに、おまえの宝物が見つかる」
 
「おまえの宝物がある場所に、おまえの心もある」
 
アルケミストより
 
tree of life (合流)
 
せっかくなのでtree of life も制作。雨が降りはじめたので、雨水を当てる。なんだろう、ここ数週間は生命の樹に取り憑かれている。カタチに生命が宿って、指南されているような。なにかに背中を押されていて、それに応じる喜びに満たされてる。自然や精霊に指南されると、作業そのものに物語が宿り、スリルや喜びが満ちていて楽しい。
 

精霊の泉にて、一晩雨に晒した生命の樹を、水に浸して魂を定着させる。なぜか一枚だけ何度引き上げても沈んでしまうので、そのまま泉に放置した。きっと一枚欲しかったんだろうな。




生命の樹に黄金が見えたとき、stay gold という言葉がすっと降りてきた。「stay」と「gold」という単語がはじめて一緒に使われたのは、ロバート・フロストという詩人の「Nothing gold can stay」らしい。
 
Nature’s first green is gold,
Her hardest hue to hold.
Her early leaf’s a flower;
But only so an hour.
Then leaf subsides to leaf.
So Eden sank to grief,
So dawn goes down to day.
Nothing gold can stay.
 
自然の最初の色は黄金。
大いなる母の最も強い色合い。
自然の最初の葉は花。
しかし一時間で枯れていく。
葉は葉に沈みゆく。
そしてエデンは悲しみにくれ、
夜明けは今日になる。
黄金のままではいられない。
 
映画アウトサイダーでも、スティービーワンダーの曲でもgoldとは「お金」「成功」「美しさ」ではなく、むしろ真逆のニュアンス、「若さ」「子供」「純粋」「無垢」「初々しさ」「青春」の意味で使われている。
 
錬金術で生まれたのは、グラムいくらで売買されている金のことではなく、アウトレットで投げ売りされていた雲竜紙と、安物の互換インク、ジャンク扱いの実験用プリンターという問題児同士の組み合わせによって生まれた、奇跡のように見える金色、「内なる輝き」のことを指している。
 
goldとは「内なる輝き」。stayとは、それを保ち続けろという、光のメッセージ。
 
※この作品はこちらから購入可能です→stay gold




 

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