2024/02/24

ワタリガラスと小さな狸

ある日の散歩道、お不動さんのそばにいつか見たコダヌキがいた。


ひどい皮膚病で動けない状態。既に死の気配を察した数羽のカラスが上空を飛んでいた。


まだ生きてるのでとりあえずシーツをかけたら、ちょっと起き上がってコクリと頷き、横になって動かなくなったので山に帰した。

最期の挨拶をしてくれたのか、抱き上げたとき、「キュン」と一言鳴いたのがとても印象的だった。



コダヌキと出会う数日前、絵の中にワタリガラスが出現した。この世界に光をもたらした恩人であり、人間を呼び出したのも彼だという。

前日には、剣山の頂上でワタリガラスが極楽鳥に化身する絵も描いていた。

うちの里山はカラスの姿を滅多に見ない。だから上空に舞うカラスの群れを見て、とても珍しく、また絵の世界と現実が曖昧になったような不思議を感じていた。

翌日の朝には白い布だけが残り、コダヌキはもういなかった。抱き上げて「キュン」と鳴いたそのとき、命は極楽鳥に抱かれていたのだろうと思う。



その夜、極楽鳥たちが楽しそうにガジュマルの森を舞う絵を描いた。なにか新しい神話がはじまったような気がした。

アラスカのような広大な森ではないけど、この小さな里山にも宇宙がある。創造と直感はそこから流れてきて神話を描く。

神話=魂のコード。

魂は永遠を求めて宇宙を輪舞している。