ある日の散歩道、お不動さんのそばにいつか見たコダヌキがいた。
ひどい皮膚病で動けない状態。既に死の気配を察した数羽のカラスが上空を飛んでいた。
まだ生きてるのでとりあえずシーツをかけたら、ちょっと起き上がってコクリと頷き、横になって動かなくなったので山に帰した。
最期の挨拶をしてくれたのか、抱き上げたとき、「キュン」と一言鳴いたのがとても印象的だった。
コダヌキと出会う数日前、絵の中にワタリガラスが出現した。この世界に光をもたらした恩人であり、人間を呼び出したのも彼だという。
前日には、剣山の頂上でワタリガラスが極楽鳥に化身する絵も描いていた。
うちの里山はカラスの姿を滅多に見ない。だから上空に舞うカラスの群れを見て、とても珍しく、また絵の世界と現実が曖昧になったような不思議を感じていた。
翌日の朝には白い布だけが残り、コダヌキはもういなかった。抱き上げて「キュン」と鳴いたそのとき、命は極楽鳥に抱かれていたのだろうと思う。
その夜、極楽鳥たちが楽しそうにガジュマルの森を舞う絵を描いた。なにか新しい神話がはじまったような気がした。
アラスカのような広大な森ではないけど、この小さな里山にも宇宙がある。創造と直感はそこから流れてきて神話を描く。
神話=魂のコード。
魂は永遠を求めて宇宙を輪舞している。
0 件のコメント:
コメントを投稿