呼ばれたような気がして、名もない山に登った。ひたすら獣道を登ると、山頂付近に大きな檜の木が現れた。見上げていると、まるで吹き消したように、曇り空が晴れて、ああこの木が呼んだんだなぁとすぐにわかった。寂しかったのか、よく来てくれたと、喜んでいた。山の主が迎えてくれると、神秘が響き渡る。仮の姿だけど、神々が宿っている。山を下りたら、雨が降りだした。道が脆くて登りにくかったから、止めてくれてたのだとわかった。
水晶や壺を描いているとよくわかるけど、宇宙を内側と外側で繋いでいるのは、身体だと思う。大の大人が、呼ばれた気がして、突然名もない山に登ったり、河原に石を拾いに行く。外から見れば、狂人(変人)だろうと思う。たしかにはっきりした目的がないから、本人も大丈夫か?と思う。でもその徒労を、祝福してくれる光がある。自分を信じて、登ってみなければ、その光を、見ることはできない。たぶん人は生を終えるとき、この光に包まれるのだと思う。
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