色彩論のなかで、著者ゲーテはアタナシウス・キルヒャー(Athanasius Kircher)の言葉を引用している。
「光は陰影なくしては、陰影は光なくしては、決して存在しえぬ」
「全世界の見えるものはすべて、ただ〈かげる光〉或いは〈光る影〉によってのみ見えるからである」
「光は陰影なくしては、陰影は光なくしては、決して存在しえぬ」
「全世界の見えるものはすべて、ただ〈かげる光〉或いは〈光る影〉によってのみ見えるからである」
このセンテンスをきっかけに、ふっと天使(悪魔?)が降りてきて、耳元でなにか囁いたかのように、ゲーテの言わんとする、陽炎のような全体像が見えてきたような気がした。ある別のきっかけで視界が開けてくるというのはよくあることだけど、今回は著者ゲーテではなく、キルヒャーの引用によって俯瞰の目が開いた。ゲーテは科学でも、文学でも、詩的でもない方法を使って、見えている世界についての、できうるかぎり近しい、輪郭のようなものを引きだそうとしていると思う。その誠実さと狂気で。
森はなぜ、こんな色をしているのか。この問いに答えられるひとが、この世にいるのだろうか。
闇を単なる光の欠如と排除して、研究の対象にすることすらなかったニュートン光学の言葉ではなく、もはや成り立ちの違う世界の答えを聞いてみたい。
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