ついにすべての苔玉が枯れてしまった。残された苔玉受けは、贈り物にしたり、許可を得て森の中にある不動明王や哲玄法師や無縁仏の墓の横に、お香立てとして添えさせてもらった。
残った残骸を並べて眺めていたら、とても不思議な気持ちになった。流木と貝殻の上にはなにもないはずなのに、そこにあるはずのないものの、圧倒的な存在を感じた。
バナナの木で作られたバリ島のアルバムに、50の遺影写真を入れようと思う。タイトルは「色即是空」にした。実に大げさなのだけど、僕だけの一冊なので、かまいやしない。
僕が勝手に彼らに生を授け、消滅させたのだから、その責任は、今生で取らなければならない。その責任の取り方について、今、思い悩んでいるのだけど、遺影を見ていると、与えることしか知らない彼らの表情は、ただただ、もっと肩の力を抜けよと、微笑しているようにしか見えない。叱咤してほしいのだけど、そう見えてしまう。
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