2020/04/16

生命の樹

stay goldの在庫分を額装して、出品しようと準備していたら、まるで上から見ていたかのようなタイミングで、地元の人からstay goldの注文が。print作品は遠方からの注文がほとんどで、地元の人ははじめてなので、気になったので聞いてみたら、たまたま読んだブログに共鳴して、生命の樹に辿りついたらしい。『いつもは買い物に慎重で、衝動買いはしないタイプなのですが』と本人も不思議がる。モチーフが図書館の楠の木とは知らなかったらしく、『懐かしい感じがしたのはそのせいだったのですね』と仰る。

『子供が小さい頃は図書館には毎週のように通っていましたし、先週も行ってきたところです』
とのこと。生命の樹が織りなす、美しい偶然(シンクロニシティ)。

動けない樹木や植物のために、虫や動物や風が種を運ぶように、作者は揺るぎない真実のために、希望の種を運んでいるだけ。才能は作者ではなく、自然の方に在る。それにしても、細い糸でよく辿りついてくれたと思う。美しい偶然を使って誘導したあの楠が、喜んでいるのが伝わってくる。

既に額装済みだったので、翌日の昼前に発送して、次の日には確実に届くと連絡したら、なんとその日の夕方に到着していた。その日は週に一度の買い出しの日、山を降りて図書館に寄ることは、何日も前から予定に入っていた。つまり全ては、図書館の木(生命の樹)の手のひらの上に乗っていた。


 
生命の樹のモデルは、よく行く図書館の前にあるこの楠の木。知に飢えたときに叡智を与えてくれる宇宙樹。大切なことはすべてここに書かれている。

 
何度も描いてしまうのは、この木が人間に伝えたいこと(真実)があるから。


『なぜか涙が出てきて不思議な気持ちになります。なぜこの絵にこんな風に惹かれるのでしょう』

作品を送るたびに、心のこもった便りを頂く。それが自分の力ではないことはすぐわかる。涙が出てくるのは、既に何度も自然に話しかけられていたからだろうと思う。本人は気づいていなくても、無意識はその声を聞いている。

自然から何度も話しかけられていたことを思い出すと、無意識に大切に保存されていたその記憶が、ダムが崩れるように一気に意識に流れ込むから、涙腺が刺激されるだろうと思う。芸術は無意識に保存されている記憶、知覚の扉を開く役割を担っている。

なんとなく懐かしい感じがするのは、カタチに樹木の記憶が沈潜(ちんせん)しているから。眼が樹木と向き合っていなくても、語りかけられた魂は、樹木の印象を記憶の像(イマージュ)として保持している。つまり作品を見る人の魂が、心の奥にある樹木の記憶を蘇らせる。だから懐かしいという感情が起こる。

作者に言えるのはここまでで、なぜ路を示すように美しい偶然が起こるのかは、精霊の沈黙(大いなる魂)の中に書かれている。stay goldは内に秘められた生命の色。その色は生命と共に輝き続けていく魂の光であり、いままで隠されていた霊的なもの開示なのだから。

条件が同じなのに、水晶の実験では黄金は一度も出てこなかった。代わりに一瞬だけ生命の樹に映った玉虫色が強く出ている。これは宇宙の夜で、なにか変容が生じたからだと思う。変容が起きている間は、宇宙の進化は休息期間に入る。この休息のあとに、人間にも新しい状態(カタチ)が現れるだろう。

世の中の雰囲気に逆行して、最近はいいことばかり起きるし、いい予感しかしない。その予感は、大いなる時の流れに漂っている。魂がそれを感じて、確かなものだと信じられるなら、世間に呑まれずに、成果を求めずに、自分が信じられることをやればいいと思う。

あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。それをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである(ガンジー)」
のだから。
 
 print作品  生命の樹   stay gold