2017/08/04

精霊のクライアント

帰宅途中、軽トラに乗った黒い犬とすれ違った。しばらくして、白い犬が全速力で走ってきた。また捨て犬かなあと思っていた。主人を探して疾走しているような、全身全霊の熱い気持ちがこちらに伝わってきて、急に目頭が熱くなった。

その日の午後、犬の散歩していたら、前から来た軽トラが、プップッとクラクションを鳴らしてきた。
‪振り向いた軽トラの荷台には、白と黒の犬が乗っていた。さきほどの白い犬だった。ああ、さっきは軽トラを追いかけていたんだなあとわかって、心底ホッとした。白い犬は疲れているけど、どこか穏やかな顔で、こちらを見ていた。それだけの話だけど、なぜ目頭が熱くなったのか、とか、なぜ知り合いでもない軽トラの人が、クラクションを鳴らして知らせてくれたのかとか、いろいろ考えていると、不思議な気持ちになった。‬

言葉を使えない動物は、テレパシーと呼ぶしかないような方法で、世界と交流している。植物もそうだろうと思う。もちろん人間も、同じだろうと思う。

よくわからないけど、すごく気になることがある。それはとても個人的なことだけど、意味のある偶然に満たされている。言い換えると、シンクロニシティが起きていて、時間や空間が消えている状態。ただの偶然ではなくて、そこに意味がある。

まだ制作中の絵がたくさんあるのに、竜王と呼ばれている大樹を描いてしまう。たぶん竜王が、テレパシーを使って、シンクロニシティの海から、発注しているのだと思う。精霊がクライアントの場合、断わることができないし、報酬は描く喜びのみ、でもその報酬は、100%純粋に、自分に返ってくる。



 

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